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 波動門体術・乱捕り規則(案)

             1992年 関  哲 男



 波動門体術・乱捕り規則 (案)補説

            1992年 2007年 関  哲 男


1.目的 1.目的
この規則は、乱捕り稽古(フリースパーリング)にあたり、各稽古者が順守しつつ自由な格闘を展開し、体術技法の修練をより効果的に、かつ安全に進めてゆくことを目的として定める。

スパーリングルールは競技ルールではありません。
要するにトレーニング方法を示した波動門内部の約束事です。


2.礼 2.礼
乱捕りは一対一で行い、始めと終わりの礼は『蹲踞の礼』とする。

『蹲踞の礼』の前後には、両者正対して結び立ちとなる。
「礼」のできない者にはスパーリングをする資格を認めない。
「礼」を知らない者の格闘などはただの乱闘にすぎない。
これは波動門の全門人が最も心すべきことです。
我々は「紳士の格闘術」の闘士であり、蛮人ではありません。


3.気合い 3.気合い
乱捕りにおいては、『無声の気合い』を原則とする。

攻撃を仕掛けるときの発声、いわゆる「気合い」は無用とする。

4.闘技場 4.闘技場
リングおよび畳、またはマットのフロアーを使用する。

転倒時および投げ技を仕掛けた際の安全を考慮している。

5.稽古着 5.稽古着
波動門規定の稽古着を着用する。
稽古着の一部として格闘シューズの着用も認める。


帯を含めて必ず規定のもので統一する。
代用は認めない。
シューズは、警察逮捕術・陸自徒手格闘で使用している格闘シューズとする。
もちろん素足も可。


6.保護具 6.保護具
@顔面および頭部用として「スーパーセーフガード・マスク」。
なお、マスクとあわせてマウスピースの使用も認める。
A下腹部急所用として、稽古着ズボンの下に着用する「鐘的カップ」
B手拳部用として「拳サポーター」


このスパーリングルールは、顔面マスク着用を前提としています。
その他のスパーリング方法(グローブ着装、ノー・マスクなど)をトレーニングに組み入れることを妨げるものではありません。
採用マスクは当面の間、スーパーセーフとするも、防具・安全具は常に研究を要す。


7.審判員 7.審判員
乱捕りには審判員1名が立ち会う。
審判員は攻撃技の効果を判定しつつ、安全で円滑な乱捕り稽古を運行指示する。


開始、終了とも指示動作は無しとする。
結び立ちで直立し、発声のみで指示するものとする。
 指示用語
  開始:はじめ 終了:それまで
  中断:やめ、分かれ
  再開:続け


8.時間 8.時間
その時々の乱捕り稽古の目標、その他の状況に応じて2〜5分とする。
ラウンド制の場合は、2分または3分を1ラウンドとする。


長すぎてダラケたスパーリングになってはいけません。
常に先手を取るべく、果敢に前に出る「攻撃格闘」を心がけること。
ポイントの取り逃げなどは格闘ではない。


9.一本 9.一本
@倒れた相手の動きを制しての、空撃をもってする打ち技による一本
(打撃技のヒットによるノックダウンそのものだけでは一本とならない)
A締め技および関節逆捕り技による一本。
B戦意喪失による一本。
(連撃によるスタンディングダウンを含む)


倒しっぱなし、投げっぱなしで終わることなく、必ず「極め」すなわち「とどめ」の攻撃を加えること。
「極め」は空撃の打ち技、あるいは「逆」、「締め」である。
仮に、打ち技あるいは投げ技によって完全なノックアウトに仕留めたと思えても、間髪を入れずに「極め取る」こと。 (ここに波動門の格闘思想の表現がある)
審判員の見込みによる判断〜ダウンから極めまでに「間」ができたときで、かつ、審判員が相当のダメージ有りと判断したときのみ、極めが加えられる前であっても、審判員の見込みによって戦意喪失による一本の宣告ができるものとする。
この場合の戦意喪失の意味は、スタンディングダウンへの適用の場合と同様に、格闘継続の一時的不能あるいは応戦能力の一時的喪失の意味と考えます。


10.攻勢点 10.攻勢点
@打撃技のヒットによるノックダウン。
A投げ技による攻勢。
B蹴り足を巴受けなどで捉えての鐘的への返し蹴り。


投げ技が決まってもそれだけでは一本とならない。 自分の体(たい)を預けての投げ技などで同時に倒れたときには、抑え込み膝蹴りや寝技での逆捕りなどの極めを入れる。
抑え込みそのものは極めにはならない。
素手の格闘というのは、相手を地べたに倒し、自分は立っているのが最も有利な状況です。
その有利な体勢から極めるのが理想と言えます。 逆を取ることにこだわって、その有利な体勢から敢えて自分まで地べたに倒れ込むのは、実戦的とは言えません。
蹴り足を捉えての鐘的への返し蹴りが一発、あるいは数発ヒットしても、それだけの攻撃で終わることなく、軸足を刈り払うなどの方法で相手を倒し、踏み蹴りその他の極めを入れること。


11.優勢判定 11.優勢判定
優勢者判定の必要がある場合には、一本の他に攻勢点を加味して総合的に評価し、優勢判定する。判定は複数の審判によることとする。

競技ではないので勝敗の判定は不要です。
但し、試合形式で行う必要があるときは、制限時間内の「得点」によって優勢判定を下す。
ラウンド制では、全ラウンド通しての合計得点による。
採点例:一本〜3点 攻勢点〜1点 とすると、投げまたは足払いなどによる倒しから極めを入れた場合、あるいは、パンチ、キックによってダウンを取って極めを入れた場合、これらの場合は、1点と3点で計4点とする。
投げ技の攻勢点は、完全に背中から床に倒したときに1点とする。
蹴り足を捉えての鐘的への返し蹴りは、その攻勢そのもので攻勢点1とする。すなわち、この場合は何度蹴ってもポイントは1だけです。
ロープやコーナーに押しつけての連撃は、それだけでは攻勢点とはならない。
打ち技のクリーンヒットといえども、それだけでは攻勢点とはならない。


12.禁止事項 12.禁止事項
@空撃または形にて極めるべき打ち技その他の攻撃技を強撃すること。
A無用の発声。
B頭部マスクをつかむこと。


防具等により保護されていない人体各急所部位への加撃は、空撃あるいは形によること。
鐘的への加撃は空撃によること。
着衣、帯をつかむことは認められる。


13.中断事由 13.中断事由
@審判員による「一本」の宣告があったとき。
A審判員による「やめ」「分かれ」の宣告があったとき。
(立ち技、寝技とも両者もつれあって、攻撃の流れがほぼ止まったとき)
(その他、審判員が必要と認めたとき)


スパーリングは、可能な限り流れを止めずに行うべきです。
中断後は両者定位置に戻り結び立ち、審判員の指示を待って再開する。